Tuesday, May 29, 2007

七戸優 (Shichinohe Masaru)






七戸優 (Shichinohe Masaru)
1959年青森県生まれ、現在は東京都在住。
画家、イラストレーター。

七戸優の作品から宮沢賢治の世界を想起する人が多いのではないかと思うのだが、僕がまず思い浮かべたのは高校生の頃何度も繰り返し読んだ稲垣足穂の 『一千一秒物語』 のことで、他にも江戸川乱歩、ルイス・キャロル、長野まゆみの小説の断片的なイメージが七戸優の作品と重なり合っては消えていく。

少年、少女、夜、月、病院、ウサギ、人工的、鉱物質、プリズム、ノスタルジア・・・・・・

七戸優の作品の中心は少年と少女であり、少年が昼を支配し、少女が夜を支配しているという構造になっている。
少年と少女が支配するのは、まだ少年だった頃の、あるいは少女たった頃の記憶 (誰の?) をいっぱいに詰め込んだ箱庭空間。
ルネ・マグリット (René Magritte) やポール・デルヴォー (Paul Delvaux) の描く人物と同じくマネキンや蝋人形の様に人工的な彼(女)らは、その箱庭的な世界で永遠に存在し続けていく。


ポストしたのは、

"人工ノ月" (2004)
"Check!" (2003)
"青いビロードの夜" (-)
"Moment" (2008)
"Black & White" (2003)

の5点。


まぼろしメニュー (MABOROSHI menu)
青木画廊--AokiGallery
GALLERY EF WEB SITE


読み込み中
クリックでキャンセルします
画像が存在しません



読み込み中
クリックでキャンセルします
画像が存在しません

浅野 信二 (Sinji Asano)







浅野信二 (Sinji Asano)
1966年横浜生まれ。
画家。

1975年、画家・黒木邦彦に師事し、デッサン、油彩画といった絵画技術の手解きを受ける。
1986年、ウイーン幻想派に学んだ画家たち (マリレ・イヌボー・小野寺、坂下広吉、鈴木和道など) により 「Wienermalschule (ウィーナーマルシューレ)」 という美術学校が開校し、同校で油彩とテンペラによる混合技法を坂下広吉、マリレ小野寺に学んだ。
その後、多摩美術大学に進み、1991年に卒業。
画廊やデパートを中心に個展、グループ展などの活動を行い現在に至っている。
2000年以降、それまで培って来た古典技法の研究を更に進め、下地や溶剤の工夫に加え、全ての作品において使用する油絵の具を、自家製の「手練り油絵の具」としている。これは19世紀に崩壊する以前の、油絵が幾世紀もの時間をかけて完成させた技法の体系を復興させ、正しく受け継ごうとする意志による。
「浅野信二作品の技法的特徴」 より

どこか海外のブログで1枚目の "Matador" という作品を見かけたのが最初の出合いで、ヨーロッパの画家で、サルバドール・ダリ (Salvador Dalí) やジョルジョ・デ・キリコ (Giorgio de Chirico) 辺りから影響を受けた人なんだろうなって印象だった。
だけど、リンクから辿り着いたのが浅野信二という日本人画家のサイトで、思ってもいなかったことから驚いたのだが、サイトで作品をまとめて見ると、こういう世界観をこんな風に描けるのって日本人しかいないよねと思えてくるから不思議だ。

ポストしたのは、

"Matador" (1999)
"凱旋 (Triumph)" (2005)
"Archive" (2004)
"カノポス (Kanopos)" (2005)
"シシーの浜辺 (Sisi on the Beach)" (2005)
"蒐集家 (Collector)" (1999)

の6点。
1点目の "Matador" から連想した画家はダリやデ・キリコだったのだけど、実際にはウイーン幻想派に学んだ画家から学んでいるので、僕の連想は的外れだったということになる (が、学んだ流派の影響がそのまま作品に反映される/されなければならない、という訳でもないだろうから的外れだったなどと考える必要などないのかもしれない)。
テーブルの角横にシンメトリカルに頬杖を付く二人の少女がいて、その前のテーブル上では今まさに闘牛が行われているという幻想的な作品 "Matador" は、シンメトリカルな画面構成と、その作品の上半分を占める深い赤が印象的でその下を深い黒が更に下に広がる白とを裁断するかの様に横に太く横に流れてるという一見明快な画面構成を持っているのだが、しかし微妙なズレを孕んでいることと沈み込むような色彩が見る者を憂鬱で不安な気持ちにさせる。
そういったところにとても惹き付けられ、たまに見返したい気持ちにさせられるのだと思う。

浅野信二WEBSITE/Asasinsane
青木画廊--AokiGallery


読み込み中
クリックでキャンセルします
画像が存在しません

Wednesday, May 23, 2007

カム (kamu)


カム (kamu)
広島在住。
イラストレーター。

大学の芸術学部を卒業後、働きながら創作活動を続けている。

ポストした作品のタイトルは、"textile chameleon"。
ボタニカル柄のテキスタイルの壁紙と同化している少女のドレスとクリノリン型の檻の中で寛いでいるカメレオン。
見た瞬間にお気に入り。
よく思いついたなぁと。

こういう淡く繊細で可愛らしいスタイルのイラストは、元を辿っていけば昔のイギリスの絵本や挿絵などに遡るってことになるのだろうが、日本国内でその影響が何十年も反射し続け独自のスタイル (と言っていいのか分からないが、なんとなくある種の傾向があるように見受けられるといった感じ) になっているという気がする。まあ、国内事情に疎いので単なる思い込みでしかないのだけど。

カムのプロフィールが簡潔だったのであまり情報が拾えなかったのだが、加藤 洋之 (Hiroyuki Kato) + 後藤 啓介 (Keisuke Goto) のイラストが好きだったのかなという印象を受けた (加藤 洋之は現在、加藤 龍勇と改名している)。
後にメールを頂き、この予想が当たっていたことが分かった。

Gra Cra


読み込み中
クリックでキャンセルします
画像が存在しません

Tuesday, May 22, 2007

Susan Jamison


Susan Jamison (スーザン・ジャミソン)
ヴァージニア州 (Virginia) ロアノーク (Roanoke) 在住。
画家。

隠喩や象徴を用いて作品を描く画家をもうひとり。
少し前にポストした Irene Hardwicke Olivieri と同じ匂いがする。

Susan Jamison
Bettcher Gallery

Monday, May 21, 2007

吉田 一 (Hajime Yoshida) aka 青い鳩 (aoihato)



吉田一 (Hajime Yoshida) aka 青い鳩 (aoihato)
1971年北海道 (Hokkaido) 生まれ、千葉県 (Chiba) 在住。
日本的なスタイルのイラスト (とはしかし何だ?) にアメリカ的なテイストが流れ込んだムチムチしたエロいイラストを描く。

これは私の個人的な嗜好なのだが、昔から水などが沸騰したり、物体が融けたりしている状態を描写しているものを好む傾向がある。
例えば私は、荒木 飛呂彦 (Araki Hirohiko) の初期の名作マンガ 『バオー来訪者 "Baoh the Visitor"』 は、沸騰・融解するシーンが多く、今読み返しても尚ドキドキするのだ。
だから吉田一の身体の融解していく様を描いた (もしかすると、ジェルを塗りたくっているだけかもしれないのだが) 1枚目や2枚目の汗の描き方、あるいは、ポストはしなかったが鼻血 (かな?) を流している女子高生を描いている作品などから勝手に同じ嗜好を持ったお仲間だと判断させて頂いた。
吉田 一もかつて 『バオー来訪者 』 の沸騰・融解描写にときめいた者に違いないのだと。

以下、吉田 一の Favorite things をサイトから。

Favorite Music:
70年代のユーロロック、プログレ、フランク・ザッパ (Frank Zappa)、ファンカデリック (Funkadelic) など。

Favorite Artists:
山本 直樹 (Yamamoto Naoki、aka 森山 塔 (Moriyama Tou)、塔山 森 (Touyama Mori)、ロッキンジェリービーン (Rockin' Jelly Bean)、鴨川 つばめ (Kamogawa Tsubame)、水野 純子 (Mizuno Junko)、タカノ 綾 (Aya Takano)、エドヴァルド・ムンク (Edvard Munch)、リタ・アッカーマン (Rita Ackermann)、フランシス・ベーコン (Francis Bacon)、マックスフィールド・パリッシュ (Maxfield Parrish) など。

鳩尾-みぞおち- 人体の急所の一つ。


読み込み中
クリックでキャンセルします
画像が存在しません

作場 季野 (Sakuba Tokiya) aka TOKIYA




作場季野 (Sakuba Tokiya) aka TOKIYA (トキヤ)
1983年東京生まれのイラストレーター。

少年時代、昆虫採集などで捕まえた昆虫の、例えば大型の甲虫類が畳んでいた翅を広げたところを見たことがある者なら、そこになんとも言いようの無い心のざわめきや戦慄きを感じたことがあるだろう。今思えば、それは昆虫に対して感じた官能だったのだけど、あの頃はなぜ自分はこんなに興奮しているのだろう?と不思議で仕方がなかった。
Tokyoの描いた1枚目の作品の昆虫少女 (少年かもしれないけど) の体と翅の接合部分を見たときに、とてもエロティックに感じ、少年時代のあの官能のざわめきを思い出した。
少年時代にあのざわめきを味わった者は、みなりっぱな変態へと成長する。
ナボコフをごらん!

「・・・内臓がさらけ出されている間じゅう、私はそのときの場面をずっと夢みていた。エーテルをたっぷりふくませた氷のように冷たい脱脂綿を蛾のきつねざる に似た顔に押しつける。体のけいれんが徐々に弱まって行く。胸の固い殻に満足げな音とともに針を突きさす。それからそれを底が固いコルクになっている展翅 板の溝に用心深くさし、大きな条の走っている「大きな目」を持った羽を左右対称にきれいに広げ、その上にきれいにパラフィン紙を張り・・・・・・」
ウラジーミル・ナボコフ (Vladimir Nabokov) 『ナボコフ自伝 記憶よ語れ "Conclusive Evidence: A Memoir"』 大津栄一郎訳 晶文社 より

蛾の痙攣に合わせナボコフの心が痙攣しているのが伝わってくるかのような文章。ねちっこい。
同じ蝶好きでも、ヘルマン・ヘッセ (Hermann Hesse) はなぜかとてもまともな人なのだけど、これは例外だろう。

TOKIYA SAKUBA


読み込み中
クリックでキャンセルします
画像が存在しません